後見制度だけでは守れない!経営者の資産防衛策
こんにちは、認知症・相続みらい相談室です。
先日、このようなご相談を受けました。
「父が認知症になって、成年後見人をつけました。でも会社の株が売れないと言われて…」
建設会社を経営するこの方の父親は、会社の大株主でした。
息子が会社を大きく成長させてきたのですが、成年後見人から
「株式の売却には裁判所の許可が必要で、簡単には認められない」
と告げられました。
多くの方が誤解している事実があります。
成年後見人は「守ってくれる人」ではなく「管理する人」
成年後見制度の基本は「本人の財産を減らさない」こと。
そのため
- 会社経営に必要な投資や決断ができない
- 事業承継のための株式移転が難しい
- 不動産売却には裁判所の許可が必要
これでは会社経営が立ち行かなくなります。
先の建設会社の場合、成長のために必要な資金調達ができず、結局競合企業に先を越されてしまいました。
「父が元気なら許可してくれたはずなのに…」という無念の言葉が今も心に残っています。
では、経営者はどうすれば良いのでしょうか?
答えは「成年後見制度に頼らない仕組み」を作ることです。
具体的には:
- 家族信託の活用(自分の意思で財産の使い方を決められる)
- 元気なうちに株式や財産の承継を完了させる
- 会社と個人の資産を明確に分離
ある建設会社では、社長が元気なうちに家族信託を設定しました。
認知症になった後も、信頼できる息子が父親の意思に沿って会社の株式を管理し、スムーズな経営判断ができています。
「成年後見人では絶対にできなかった柔軟な対応ができています」と息子さんは感謝されていました。
次回は「知っておきたい!『任意後見』と『家族信託』の違い」をお届けします。