2025年11月第1号 経営者が今すぐ見直すべき『緊急時権限移譲』~突然の事態が会社を止めてはいけません~

昨年、ある会社の担当者から心配そうな声で相談されました。

「社長が急に入院して3週間。
お金を払う印鑑も、金庫のカギも、社長だけが持っています。
50万円以上のお金を払うことが誰もできず、大事なお取引が止まってしまいました」

その後、どうなったか。
お客さんへの支払いが遅れて、信用を失いました。
給料を払う日が来ても、社長がいないから従業員にお給料が払えない。
本当に大変なことになってしまったのです。

驚く事実

私は25年以上、たくさんの会社の社長さんと一緒に仕事をしてきました。
その中で気づいたこと。

「社長がいなくなったときに、誰が会社を動かすのか」について、きちんと準備している会社は、思った以上に少ないのです。

ある会社の社長さんが、交通事故で2ヶ月入院しました。
退院した後、その社長さんが私に言いました。

「自分がいなくなるなんて、本気で考えていませんでした。こんなに大変なことになるなんて…」

この気持ちは、私が出会った多くの社長さんが感じていることなんです。

「もし自分がいなくなったら」と、考えたことはありますか?

元気で健康な人ほど、この問題から目をそむけてしまいます。
でも、現実は変わりません。

いつ、病気になるか。
いつ、事故に遭うか。
誰にもわかりません。

だからこそ、今すぐ準備することが大切なのです。

緊急時に見直すべき、3つの大切なこと

1. 誰がどのくらいのお金を使っていいのか、きちんと決めておく

  • 100万円までは部長さんが決める、1000万円までは専務さんが決める…みたいに、金額によって決める人を分ける
  • 社長がいない時は、誰が次に印鑑を押すのか、順番を決めておく
  • その決まりを紙に書いて、みんなに知らせておく

大切なこと:「ん~、この場合どうする?」という迷いは、問題を大きくします。

2. 銀行からお金を引き出すときのルールを直しておく

  • いくつかの銀行について、複数の人が印鑑を持つようにする
  • 一定のお金までなら、社長以外の人も引き出せるようにする
  • インターネットバンキングの権限も、今すぐ確認する

大切なこと:「社長の印鑑がないと、1円も引き出せない」という状況は、今すぐ変えましょう。

3. 法律的に確実にしておく

  • 「緊急時対応計画書」を作成し、公正証書化する
  • 家族信託や遺言信託などの法的仕組みを検討する
  • 取締役会で正式な承認を得て、議事録を残す

大切なこと:口で「大丈夫」と言うだけではなく、紙と法律で確実にすることが大事です

本当にあった話:準備があるかないかで、全然ちがった

ある社長さんが、脳の病気で倒れました。
その会社は、3ヶ月前に「もしもの時」の準備をしていました。

結果は、びっくりするくらい違いました。

社長さんが入院中も、会社は普通に動きました。
従業員さんへの給料も、お客さんへの支払いも、全部予定通りです。

その専務さん(社長さんの息子さん)が、こう言ってくれました。

「父が入院したのは、本当に大変で悲しいことです。でも、会社は普通に動いています。
 前もって準備してくれたおかげです。
 もしこの準備がなかったら…」

その先には、とても大変なことが待っていたはずです。

あなたの会社は、大丈夫ですか?

  • 社長さんの印鑑が、社長さんだけしか持っていないのではないか
  • 大きなお金を引き出すときは、社長さんの許可が絶対に必要になっていないか
  • 「もしもの時はどうする」という計画書が、どこにもないのではないか

今、「あ、そういえば…」と思ったことがあれば、それは「今すぐ対策しましょう」という合図です。

明日かもしれません。
来週かもしれません。
誰にも、いつ何が起きるかはわかりません。

だからこそ、今日から見直してください。

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