2025年10月第1号メルマガ 70歳の決断が、3代続いた会社を潰した理由

「まだ私がいないとメだ」

この一言が、創業70年の会社を終わらせました。

ある金属加工会社。
創業者の孫である社長は、71歳になっても現役でした。

後継者である長男(45歳)は10年前から「そろそろ」と準備を促していました。
しかし社長の答えは、いつも同じでした。

「お前はまだ若い。もう2〜3年したら…」

そして73歳のある朝、社長は脳梗塞で倒れました。

その日から、悲劇が始まりました。

■ 認知症リスクを軽視した代償

社長は一命を取り留めましたが、認知症の症状が出始めました。
 問題はそこからでした。
取引先との契約更新ができない
設備投資の融資が受けられない
古参社員が次々と退職

長男は必死に会社を守ろうとしました。
しかし、法的な権限移譲がなされていなかったため、何もできませんでした。

18ヶ月後、売上は創業以来最高だった時期の30%まで落ち込みました。
そして昨年、70年の歴史に幕を下ろしました。

「父が元気なうちに、せめて家族信託だけでも組んでいれば…」

長男の言葉が、今も私の胸に刺さっています。

■ 事業承継、4つの致命的な失敗パターン

24年間、数百社の事業承継に関わってきた経験から、 失敗する会社には共通のパターンがあります。

【失敗パターン1】 「まだ大丈夫」という根拠なき先延ばし

→ 回避法: 具体的な期限を決める
 (例:「3年後の○月○日までに代表権を移譲」) 期限がない目標は、実現しません。

【失敗パターン2】 ある日突然「明日から任せた」と丸投げ

→ 回避法: 段階的に権限委譲する

  • 1年目:営業同行と取引先への挨拶
  • 2年目:主要取引先の担当を移管
  • 3年目:経営会議の主導権を移譲
  • 4年目:代表権の移譲

【失敗パターン3】 会社の「想い」や「歴史」を伝えていない
→ 回避法: 創業の経緯、大切にしてきた理念、主要取引先との関係性などを 「経営理念書」として文書化する

【失敗パターン4】 法的準備の不足(特に認知症リスクへの対策)
→ 回避法:

  • 家族信託の活用
  • 民事信託の設定
  • 任意後見契約の締結
  • 株式の段階的な移転

これらを「認知症になる前」に準備することが決定的に重要です。

■ 成功事例:箱根の老舗旅館

一方、老舗旅館「○○館」では、全く違う物語がありました。

先代女将(68歳)は、健康なうちから準備を始めました。

5年計画で段階的に権限移譲
家族信託を活用した資産管理体制の構築
「女将の心得」として理念と歴史を文書化
主要取引先への後継者紹介を2年がかりで実施

そして72歳の時、予想もしなかった脳梗塞で倒れました。

しかし、旅館の経営は一日も滞ることなく続きました。
すべての準備が整っていたからです。

「母の想いと、具体的な道筋があったからこそ、 私は迷わず経営を引き継ぐことができました。
そして今、母が築いた旅館の伝統を、次の世代へと紡いでいます」

現在、息子さんは4代目として、旅館を新たな高みへと導いています。

■ 「今から」始めるべき3つの理由

【理由1】認知症は予告なく訪れる
厚生労働省の調査では、65歳以上の約7人に1人が認知症です。
「自分は大丈夫」という保証はどこにもありません。

【理由2】法的準備には時間がかかる
家族信託の設定、株式の移転、取引先への挨拶… これらは一朝一夕にはできません。

【理由3】後継者の成長にも時間が必要
経営者としての判断力は、実務経験の中でしか育ちません。

■ あなたの会社は、大丈夫ですか?

もし、以下のいずれかに当てはまるなら、 今すぐ対策を始めることをお勧めします。

□ 後継者は決まっているが、具体的な承継計画がない
□ 「まだ自分がやる」と考えている
□ 認知症リスクへの法的対策をしていない
□ 後継者への権限移譲を始めていない
□ 会社の理念や想いを文書化していない

事業承継は「いつか」ではなく「今から」始めるものです。

あなたが築いてきた会社、 そこで働く従業員とその家族、 そして何より、あなたの想いを受け継ぐ後継者のために。

今日から、一歩を踏み出しませんか?

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