はじめに
「任意後見の契約をしたから、もう認知症になっても大丈夫!」
建設会社の社長さんが、そう言っていました。
でも、本当にそれだけで安心なのでしょうか?
実は、多くの会社の社長さんが「任意後見」と「家族信託」という2つの仕組みをごちゃ混ぜにして考えています。
「どっちも同じようなものでしょ?」
「任意後見があれば十分でしょ?」
そう思っている人、とても多いんです。
でも実は、この2つは全然違うんです!
今日は、認知症対策の専門家として、この2つの違いを分かりやすく説明します。
読み終わる頃には、あなたの会社を本当に守る方法が見つかるはずです。
みんながハマる「認知症対策の落とし穴」
よくある間違い
会社の社長さんたちとお話しすると、こんなことをよく言われます:
- 「任意後見があれば家族信託はいらないよね?」
- 「どっちも似たようなものだと思ってた」
- 「専門家に相談したら任意後見を勧められたから、それで安心してる」
でも、この考え方には大きな落とし穴があります。
実際にあった困った話
電気工事の会社をやっている社長さん(60歳)の話です。
この社長さんは3年前に任意後見の契約をして、「これで認知症対策はバッチリ!」と思っていました。
ところが、軽い認知症になった後、こんな問題が起きました:
- 新しい仕事に挑戦したいのに、できない
- 土地や建物を売ったり買ったりするのに時間がかかる
- 会社の大事な決断ができない
なぜこんなことになったのでしょうか?
実は、任意後見の人は「今ある財産を守る」ことが一番大事な仕事。
だから、新しいことにチャレンジするのは苦手なんです。
結果として、いいビジネスのチャンスを逃してしまったんです。
任意後見って何?メリットとデメリット
任意後見制度を簡単に説明すると
任意後見制度は、こんな仕組みです
「将来、認知症になったときに備えて、今のうちに信頼できる人を『見守り役』に決めておく制度」
例えるなら、「大切な宝物を守ってくれる番人を、今のうちに決めておく」という感じです。
メリット
自分で見守り役を選べる 家族や信頼できる人を、自分で選ぶことができます。
自分の希望を伝えられる 「こんな風にしてほしい」という希望を、前もって伝えることができます。
お金があまりかからない 契約を作るのに必要なお金は、比較的安く済みます。
デメリット
裁判所がずっと見張っている 裁判所の人が、ずっと監督しています。自由度が低いんです。
新しいことにチャレンジしにくい 基本的に「今ある財産を守る」のが目的。新しい投資や事業は難しいです。
認知症になるまで効果がない 元気なうちは、この契約の効果はありません。
家族信託って何?メリットとデメリット
家族信託を簡単に説明すると
家族信託は、こんな仕組みです
「大切な財産を信頼できる家族に預けて、自分の代わりに管理してもらう仕組み」
例えるなら、「大切な宝物を家族に預けて、『自分だったらこうする』という気持ちで使ってもらう」という感じです。
メリット
自由度が高い 契約の内容次第で、新しい投資や事業も自由にできます。
裁判所は関係ない 基本的に家族同士の約束なので、裁判所は関係ありません。
すぐに効果がある 契約したその日から、効果が始まります。
会社の引き継ぎにも使える 会社の株を信託することで、息子や娘への引き継ぎもスムーズにできます。
デメリット
仕組みが複雑 一人ひとりの状況に合わせて作るので、難しいです。
家族への負担が大きい 財産を預かる家族の責任が重く、負担になることがあります。
お金がかかる 契約を作るのに、任意後見よりもお金がかかることがあります。
会社の社長さんには、どっちがいいの?
会社の社長さんが大事にしたいこと
会社の社長さんの認知症対策では、こんなことが大事です:
- 会社を続けられること
- すぐに大事な判断ができること
- 息子や娘への引き継ぎがスムーズにできること
- 取引先に迷惑をかけないこと
どんな時にどっちを選ぶ?
任意後見がいい場合
- 会社が小さくて、大きな投資をしない
- 今ある財産を守ることが一番大事
- お金をあまりかけたくない
家族信託がいい場合
- 会社を続けて、もっと大きくしたい
- 自由に財産を使いたい
- 息子や娘への引き継ぎを考えている
両方使うのがいい場合
- 財産の種類によって使い分けたい
- リスクを分けたい
- より安全な対策を作りたい
建設会社の社長さんの成功例
最初にお話しした建設会社の社長さんは、違いを知った後、こんな対策に変えました:
- 会社関係の財産: 家族信託で息子に預けて、自由な経営ができるようにした
- 個人の財産: 任意後見で安全に守ってもらうことにした
- 結果: 認知症になった後も会社を続けることができ、新しい仕事も取れた
「会社の社長として、最後まで自分の思い通りにできる仕組みが見つかりました!」
と、とても嬉しそうでした。
まとめ
任意後見と家族信託は、どちらも大切な制度ですが、全然違うものです。
任意後見 = 「守りの制度」 今ある財産をしっかり守りたい人向け
家族信託 = 「攻めも守りもできる制度」 会社を続けたり、新しいことにチャレンジしたい人向け
大事なのは、あなたの状況に合った選択をすることです。
場合によっては、両方を使うことで、もっと安全で安心な対策を作ることもできます。
「任意後見があるから大丈夫」ではなく、「本当にあなたの会社と財産を守れる対策になっているか」を、
もう一度考えてみてください。
正しい対策を取ることで、認知症になっても、あなたの思いを最後まで実現することができるんです。
もっと詳しく知りたい方、自分の場合はどうすればいいか相談したい方は、お気軽にご連絡ください。
あなたにピッタリの対策を一緒に考えましょう!