日本は超高齢社会を迎え、現在65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症と言われています。
この数字は2060年には約650万人(65歳以上の約5人に1人)にまで増加すると予測されています。
特に問題となるのが「資産凍結」です。
認知症により判断能力が低下すると、銀行口座の利用や不動産の売却などができなくなり、
本人だけでなく家族の生活にも大きな影響を与えることになります。
本ガイドでは、認知症になる前に準備しておくべき対策として、あなたとご家族の未来を守るための
5つの具体的な方法をご紹介します。
早めの準備で、大切な資産と家族の平穏な生活を守りましょう。
はじめに
日本は超社会高齢者を迎え、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症と言われています。
2025年には約650万人(65歳以上の約5人に1人)に増加すると予測されています。
特に問題となるのが「資産凍結」です。
これは、認知症により判断能力が低下すると、銀行の利用や不動産の売却などができなくなる状態を選びます。
認知症による資産凍結レポートを、あなたとご家族の未来を守るための5つの具体的な対策をご紹介します。
対策1:エンディングノートの作成
なぜ必要か?
認知症が進行する前に、あなたの意思や希望を明確に記録しておくことは、
将来の資産管理や医療ケアに関する決定を家族が行う際の重要な指針となります。
明確な記録は家族間のトラブルを防ぎ、あなたの意思を尊重した対応を可能にします。
内容
- 財産目録
(預金、不動産、保険、株式等の詳細情報と所在地) - 相続に関する希望
(誰に何を引き継ぎたいか、その理由も含めて) - 介護や医療に関する希望
(延命治療の是非、受けたい治療・受けたくない治療) - 葬儀・お墓に関する希望
(形式、規模、場所など具体的に) - 大切にしている価値観や人生の思い出
(家族への伝言も含めて)
実践ステップ
- 市販のエンディングノートを購入するか、自分でノートを用意する
(デジタル版も検討する) - 無理せず1ヶ月程度かけて少しずつ項目ごとに記入していく
- 財産管理に関する部分は特に詳細に記載し、口座番号や契約番号なども漏れなく記録する
- 記入後は信頼できる家族に保管場所を
伝え、可能であれば内容も共有しておく - 年に1回は内容を見直し、資産状況や希望の変化に応じて更新する
対策2:家族信託の検討と設計
なぜ必要か
家族信託は、認知症発症後も家族が法的に有効な形で資産管理を継続できる強力な手段です。
将来の不安に対する具体的な備えとして注目されています。
家族のメリット
- 認知症発症後も家族が本人の資産を適切に管理・処分できる
- 不動産の売却や建て替えなどの重要な処分行為も柔軟に対応可能
- 成年後見制度と比較して手続きが柔軟で費用負担が軽減される
- 本人の意思や価値観を反映した資産管理が実現できる
実践ステップ
- 家族信託についての基本情報を詳しく収集する
- 専門家(司法書士・弁護士等)に具体的な相談をする
- 信託する資産と信頼できる受託者(管理者)を慎重に決定する
- 信託契約を公正証書で正式に作成する
- 不動産を信託対象とする場合は適切な登記変更を行う
注意点
- 受託者となる家族の能力・信頼性・将来性を総合的に評価することが重要
- 不測の事態に備えて複数の受託者を指定することも検討する
- 家族関係の変化も考慮した長期的な視点での設計を行う
対策3:任意後見契約の締結
なぜ必要か
任意後見契約は、将来の認知症に備えて、信頼できる人に財産管理や身上監護を依頼する法的な仕組みです。
家族信託と併用することで、より強固な資産保全体制を構築できます。
任意後見のメリット
- 自分で後見人を選ぶことができる(法定後見では裁判所が決定)
- 任意後見監督人が選任されるため、不正防止の仕組みが確保される
- 認知症になる前に契約しておくことで、将来の安心を確実に得られる
後見人選定
任意後見受任者を選ぶ
公正証書作成
公証役場で契約締結
条件設定
発効条件を明確化
報酬決定
業務内容と報酬を決める
注意点
- 公正証書作成には約5万円の費用がかかります
- 任意後見監督人の選任には家庭裁判所の審判が必要です
- 発効後は年間10〜20万円程度の監督人費用が発生します
対策4:パスワード管理の工夫と金融機関対策
なぜ必要か
認知症が発症すると最も早く問題となるのが銀行口座の利用制限です。
本人確認や取引判断ができなくなると、資産が凍結されるリスクがあります。
事前の準備により、生活資金の確保と円滑な管理を実現できます。
具体的な対策
- 家族名義の生活費口座の設定:
生活に必要な資金を家族名義の口座に定期的に移し、その口座から公共料金等を支払う仕組みを整えておく - 代理人カードの活用
一部の金融機関では、本人が健常なうちに家族を代理人に指定できるサービスがある
(ただし、認知症発症後の新規申請はできないため早めの準備が重要) - ゆうちょ銀行の家族払戻制度
ゆうちょ銀行では、認知症などで本人が手続きできない場合に、家族が一定条件下で口座を払い戻しできる特別な制度を利用できる
実践ステップ
- 主要取引銀行の認知症対応ポリシーを詳細に確認する
- 生活費専用の家族口座を開設し、必要な権限設定を行う
- 毎月一定額を自動的に生活費口座へ移動する仕組みを構築する
- 各金融機関で提供されている代理人カードや家族サポートサービスを申請しておく
- 公共料金や定期支払いの引き落とし口座を家族名義口座に変更しておく
対策5:財産目録の整備と専門家ネットワークの構築
なぜ必要か
認知症発症後は判断能力の低下により財産管理が困難になります。
事前に財産の全体像を把握し、信頼できる専門家のネットワークを構築しておくことで、発症後の混乱を最小限に抑え、適切な対応が可能になります。
財産目録に含めるべき情報
- 預貯金
(金融機関名、支店名、口座番号、残高、通帳保管場所) - 不動産
(所在地、登記情報、評価額、ローン残高、権利書保管場所) - 保険
(保険会社、証券番号、保障内容、受取人、満期日、保険料) - 有価証券
(証券会社、口座番号、保有銘柄、評価額、運用方針) - 借金
(借入先、残高、返済条件、返済期限、担保情報) - デジタル資産
(重要なIDとパスワードの管理方法、アクセス権限者)
専門家ネットワークの構築
- 認知症に詳しい司法書士・弁護士
(成年後見制度の相談) - 相続・贈与に詳しい税理士
(節税対策と資産継承の助言) - かかりつけ医と認知症専門医
(早期診断と治療方針) - 信頼できるファイナンシャルプランナー(資産管理と運用の相談)
実践ステップ
財産目録の作成
Excelや専用アプリを活用し、全ての資産と負債を網羅した財産目録を作成する
定期的な更新
年に1回は内容を見直し、変更があれば即時に更新する習慣をつける
保管場所の共有
通帳や権利書の保管場所を家族に明確に伝え、緊急時にアクセスできるようにしておく
専門家との関係構築
認知症対策に精通した各分野の専門家と事前に相談関係を構築し、信頼関係を醸成する
家族と専門家の紹介
家族と専門家を引き合わせ、いざという時にスムーズに相談できる体制を整えておく
おわりに
認知症は誰にとっても避けられない可能性として存在します。
しかし、適切な事前準備を行うことで、認知症になった場合でも資産凍結のリスクから自身を守り、
大切なご家族の心理的・経済的負担を大幅に軽減することができます。
本レポートで解説した「エンディングノートの作成」「家族信託の設計」「任意後見契約の締結」
「パスワード管理と金融機関対策」「財産目録の整備と専門家ネットワークの構築」という5つの
対策は、すべて健康なうちから段階的に始められるものです。
一度にすべてを実行する必要はなく、ご自身のペースで着実に進めていくことが大切です。
ご自身の状況に合わせたより詳細な個別アドバイスが必要な場合は、専門家への相談をぜひご検討ください。
早期の対策が将来の安心につながります。
あなたとご家族の尊厳ある生活と明るい未来のために、今日から具体的な一歩を踏み出しましょう。
お問い合わせ
認知症・相続みらい相談室
代表 釆田信之(Nobuyuki Waketa)
電話:090-2798-4195
メール: waketa@pa-bonds.com
公式サイト: https://www.xxxxx.com
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